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Jリーグを引退した選手から学ぶ(2)

2012.12.14

昨日同様、週刊現代の「天才スポーツ選手が語る栄光と挫折」の記事からひとつ・・・・

前園正聖 選手

前園選手は92年、横浜フリューゲルスに入団し、96年のアトランタオリンピックでU23日本代表として初戦でブラジルを相手に「1-0」で勝利した経歴の持ち主。記事では、このオリンピックで前園選手が感じたこと、在籍クラブの対応、そして前園選手自身がその後、どういう意思をもって選手キャリアを選択していったのかという内容でした。

まず、オリンピックでナイジェリア戦、ブラジル戦を経験して、前園選手は世界レベルの高さに驚嘆しています。23歳で、同じ世代の世界のサッカーに驚嘆して、そこから世界を目指したいという気持ちを強く持つようになったようです。

アトランタオリンピック終了後、当時、前園選手が所属していた横浜フリューゲルスにはスペインの名門セビージャを含む6チームから獲得のオファーがあったそうです。しかし、チームは前園選手にそのオファーを伝えずに断り、それを不満に思った前園選手は弁護士を自分で雇って、ヴェルディ川崎への移籍を実現。その後、ブラジル、J2、韓国Kリーグを経て05年に31歳で引退しました。

私は2つの点が気になりました。

1つ目はやはり、Jリーグがプロリーグとして創世期であった点。創世期がゆえに、

- 選手と代理人の関係
- クラブ間の選手移籍に関するルールが規定されていなかった

サッカー選手はチームにとっては素材です。チームは素材を集めておいしい料理を作り、ピッチでお客さまに提供するレストランと考えてください。代理人は、市場の仲買人と思ってください。

選手にとって代理人は、自分を素材として適正に評価して値段をつけてもらい、色々なレストランに売り込んでもらう存在。素材は生ものですから、旬がいつまでも続くわけではありません。適正なタイミングに適正な価格でステップアップすることは、とても重要なのです。
また、レストランにとっても、仲買人はとても重要です。レストランが仲買人に期待する価値は、レストランが希望するレベルの素材を、適正価格で常に供給してもらうことです。優秀な仲買人と付き合えるレストランは、いつ食事に行ってもおいしい料理を適正価格で提供してくれます。どんなときも期待を裏切らない人気のあるレストランになることでしょう。

クラブ間の選手移籍には、移籍金という制度が附帯しています。移籍金は、クラブと選手が契約期間中に移籍する場合に発生するコストです。クラブからみると、素材を所属するチームの環境で育成して価値を上げた、または契約期間中に当てにしていた戦力を提供することに対する対価になります。契約期間中に選手が移籍する際に、移籍金を設定して移籍先チームがその費用を負担するという制度です。逆に、契約満了後であれば、チームと選手間で、契約の継続、または移籍をお互いに同じ立場で検討できるので移籍金は発生しません。

昨晩、クラブワールドカップで、チェルシー対モンテレイが行われました。チェルシーのFWフェルナンドトーレスは2011年1月にリバプールから移籍しましたが、チェルシーがリバプールに支払った移籍金は65億円(5000万ポンド)です。浦和レッズの2011年シーズンのクラブ収入が約54億円・・・ リバプールは、浦和レッズが1年かけて得るすべての収入より11億円多い収入を選手の放出で得ることになりました。

才能ある選手を獲得して正しいステージで成長させ、お金のあるクラブに売却することはクラブの収入源として無視できない要素ですが、当時のJリーグや現在のJリーグにおいても、まだまだ110年の歴史あるヨーロッパほどうまく活用できていない分野ではないかと思います。

2つ目は前園選手個人のタイミングの問題です。

世界のレベルを目の当りにして海外志向になったのが23歳とのこと。サッカー選手のピークが20代前半で訪れることを考えれば、タイミングがすこし遅かったのではと思います。やはり、ピーク前に世界で戦う機会があって、そこに向かう環境が整っていれば・・・・・ また、ヨーロッパと日本の選手を比較すると10代後半にフィジカルの差が顕著に表れます。この時期にヨーロッパの選手と戦う機会があれば、自分がいったいどの位置の選手で、キャリアをどこで選ぶべきかということがより適切に選択できたのではと思います。

先人の選手やチームが直面した様々な問題を研究、分析することで、より適切な知識と戦略を組み立て、子供たちの育成に役立てたいものです。